ひとりごと

見たもの聞いたもの

担当のソロの話

 

 こんにちは、今まで使っていたはてブロのアカウントがどうしても思い出せません、かしむらです。

 グリツア名古屋に参加されたプロデューサーの皆様お疲れさまでした、315でしたね。ちなみにわたしはお留守番でした。お留守番の間に、アイドルマスターSideMでわたしが担当しているアイドル、桜庭薫のソロ曲「Because」について思ったことをまとめます。

 以下、わたし個人の感想や解釈を読みにくい文章でつらつらと語ったものなので、そういうのが苦手な方はご注意ください。ネタバレだらけです。

 

 突然の試聴公開、そしてセカライでの絶唱から二か月半、この曲の最初から最後までとちゃんと向き合う日が来てしまったことに言いようのない緊張感を感じながら、おそるおそるフルを聴きました。

 初めてフルを聴いたときに、恥ずかしながらぼろぼろ泣いてしまって。桜庭薫というアイドルが、アイドルとしてだけでなく一人の人間として、こんな言葉を紡ぐようになったことに、涙が止まりませんでした。かつてのアイドルになったばかりの彼だったら歌うことのなかったであろうこの歌を、ステージの眩い光の中で、魂を削るように歌う。彼の姿がまぶたの裏に浮かんで、それだけで、彼の担当をしていてよかったって、改めて思いました。

 

 この曲を初めて試聴で聴いたとき、その熱さと青さに衝撃を受けたのを覚えています。それまで、明確な根拠があるわけではないんですけど、なんとなく桜庭薫のソロ曲は蒼い鳥やこいかぜみたいな系統の、ボーカルの映えるバラードを想像していたんです。だけどいざ視聴を聴いたら、開始20秒でデデン!ってきて。ばりばりの青の系譜曲で、本当にびっくりしました。そしてそれと同時にすごく嬉しくて。彼もまたアイマスの青の系譜なんだって改めて実感して、嬉しくて嬉しくてしょうがなかったんです。ありがとう。冷淡に見えるけど実は感情豊かでお腹の中では色々な気持ちがぐるぐるしてて、だけど普段はそれを表現できない彼が、この曲ではその想いを歌で解放しているんだなって思いました。魂を削るような歌声から彼の決意が滲み出てて、大好きで大好きで、何度も繰り返し聴きました。

 一方でそれとは別に、視聴を聴いた感想としてはもうひとつ、何かがひっかかったんです。うまく言えないんですけど、さみしさ、とか、孤独、とか、そんな感じのものを感じてしまって。まるで、彼の世界の中には彼一人しかいないような印象を受けたというか。確かに、「歓声」、つまり観衆や聴衆の存在は示されているけど、これらはあくまで彼から見た景色の一部として描かれているだけで、彼の内面に入り込んで関わりを持とうとするような他者の存在は示されていません。光り輝く世界の真ん中に立って歌う彼はかっこいいけど、孤独で。そんな中でもまっすぐにこの世界に存在し続ようとする彼の決意や覚悟をひしひしと感じました。

 この曲のタイトル「Because」、つまり「理由」なんですけど、この曲で歌われている「理由」が何に対する理由で、どんな理由なのか。そのことを考えました。視聴を聴いたときのわたしは、「「歌い続ける」理由は「完璧な輝きを届けてみせる」こと」だと思ったんです。そして「あの星空まで」届けると歌うその「星空」は、彼が目指すトップアイドルという高みであると同時に、彼の姉のことを示しているんじゃないかと思いました。「笑い方忘れそうなくらい俯いた日々」は姉を失ったことを表しているし、だとしたらこの曲は、彼の決意の曲であると同時に姉への鎮魂の曲であるのではないか、そんな風に感じました。歌うこともアイドルを目指すことも、この時点での彼の指針を決定する要因はすべて彼の過去にあるもので、(彼が自覚しているかどうかはわかりませんが)過去に囚われているのを感じてしまい、聴いていてすごくしんどくなったことを覚えています。

 そしてそんなわたしの感覚をものの見事に打ち砕いてくれた2番。CD買って歌詞カードを見て、あっこれやばいって思いました。わたし死ぬって思った。むしろこの時点で死んだの方が適切かもしれない。視聴の後ろに爆弾があるのはアイマス曲あるあるですが、こんなすぐ後ろに、こうも特大の爆弾が仕掛けられてるとは思わなかった。「Because」の意味がわかって、泣いたというか、頭を殴られたような衝撃が凄かったです。

 最初は「煩わしい」「相容れなかった」ドラスタのメンバー達と接するうちに、彼は自然と、いつの間にか変わっていっている。歌詞の「並ぶほど」っていうのがまた、単に認めている、っていうだけじゃなくて、隣に立ちたい、仲間として共にありたいっていうのを感じて、もう無理でした。ドラスタに出会えてよかったね。三人が出会えたことが奇跡なんだって思いました。

 そしてBメロなんですけど、座右の銘ぶっこんでくるのほんとずるい。合作でゴリマしたのにまたかよって感じですけど、この座右の銘の「成功は積み重ねた努力の先にある」っていう言葉がすごく好きなんです。最初この言葉を知ったとき、びっくりしたというか予想外で。最初のツンツンしたイメージだと桜庭って「成功のための努力は支払われて当然である」とか「成功しなければ意味がない」みたいなこと言い出しそうじゃないですか。それなのにこの、ある意味楽観的ともいえるようなフレーズを、よりによって座右の銘として断言できるのはなぜだろうって考えたんです。それはきっと、今まで彼が、正当な努力で自分の人生の過程を積み重ねてきたからなんだろうなって思いました。ロングレンジな話ですけどたぶん、彼は学生時代は医学部に入るために努力して、医学生になってからは医者になるために努力して、医者になってからもまたその中で努力してきたわけじゃないですか。そうやって自分が決めた目標をひとつひとつ自分で達成してきた彼は、そういった自分が今までしてきたことを「信じている」んだろうなと思いました。1番の、「踏み出した一歩は何処にいたって望む未来へ繋がるだろう」っていうフレーズも、同じように彼の人間性がぎゅっと表れていて好きです。過去においても未来においても、彼の根底にある努力という軸は変わらないしぶれない、めちゃくちゃかっこいいなって、思います。

 でも1番と2番、似た内容のBメロでも微妙に違っていて。1番は望む未来へ「繋がるだろう」、2番は望む未来へ「近づきたい」。「繋がるだろう」が、彼が信じていることだとしたら、2番の「近づきたい」は明確な、前に進むという彼の意志なんだなと思いました。「今こそ」のところ、切迫したところにも彼の気持ちが溢れていて、この1番と2番の違いはどこにあるのかと言われればそれはやっぱり仲間と出会えたことなんだろうな。この差分すごくないですか……?初めて気づいたとき、本当に感動したのを覚えています。アイラ先生ありがとうございます。

 サビの「進むことを決意したあの日から」ってのは、薫が彼なりに過去ではなく未来を見て歩くことを決めた日ってことなのかな。「君と会えたから」って、この「君」が誰を指しているのかははっきりしませんが、(プロデューサーとするのが一般的なのかな、)わたしとしてはそこは曖昧なままでもいいのかなと思っていて。もっというならここの「君」が誰であってもいいと思うんです。彼がそういうふうに思える人に出会えて、そういうことを言葉にできる機会に恵まれていること自体がとても素敵なことだと思うので。今回の彼のカードの言葉を借りるなら、「君」は彼がこれまでに出会った誰であってもいいと思うんです。「この場所に立つまでに出会った誰が欠けても、僕は今の僕ではなかった」、こんな言葉を口に出せるような、素敵な仲間と出会えてよかった。わたしもとっても嬉しいです。

 間奏、熱を感じさせるかき鳴らされるギターと、後ろで響くピアノ。全然関係ないかもですけどこれも「静寂と歓声」なんじゃないかなあ、なんてちょっと思いました。

 落ちパート、そしてラスサビへ。わたしはこの「Because」の後に続く言葉が、彼の「理由」だと思っています。まだ聴いていない方は、ぜひ自分の目で耳で知ってほしいので、直接は書きません。が、自分のことしか信じていなかった桜庭薫が、他人を信じることを覚えて、変わっていく、彼の「変化」「成長」そのものなんだなって思いました。「誰も皆微笑み合っている」ことなんて、昔の彼なら気付かなかったし願うこともなかったんだろうなって思います。

 ラスサビでは、1番であんなに出てきた「星」も「星空」も出てきません。1番では「星空」が歌われていた位置で、「見ていてほしい」「これからもずっと」と歌う。今の彼は、かつて見ていた「星空」だけじゃなくて、今まで彼が出会ってきたものたち、過去も現在も未来もぜんぶ含めたものたちに、今の自分の姿を刻み込むように、全てを賭けて歌う。これからも、なんて未来を歌ってくれるのがどんなに幸せなことか。こんなこと言われたら、ありがとう、しか出てこない。ありがとう。一緒に未来が見たいね、みんなと一緒に、トップアイドルになろうね。これからも、少しでもそのお手伝いができたら、わたしはとっても幸せです。

 

 セカライを経て、改めて桜庭薫の歌が好きだなって思いました。それと、内田雄馬さんが、薫を一人の人間として捉えて考えてくれてるのがすごく好きで。セカライでの「薫と一対一で向き合って」「一緒にステージに立って」って言葉とか、ドラミで薫の二年間について話してくれたこととか、315の日ニコ生の、Becauseは自分の声で歌い出しを切り開かなきゃいけない曲、っていう言葉とか、そういうことを思い出しながら、この曲を聞いています。

 改めて、名古屋でのソロ披露おめでとうございました。参加は叶いませんでしたが魂だけ名古屋に飛ばしていました。次ライブで聞けるとしたらサードライブかなあ。そんなことばかり考えてしまいます。

 最後の方ポエミーになってしまって恥ずかしい限りですが、酔っ払いの戯言だと思って流してください。最後になりますが、オリピ04全曲それぞれアイドルの個性が曲ににじみ出ていて、ほんとに素晴らしいので、ぜひ、ぜひ聞いてください。聞いたひとがみんないいって言ってます。ほんとうです、信じてください。